「Kiru」の代表的な加工は、半導体製造工程における「ブレードダイシング」です。
半導体製造工程ではシリコン単結晶の板(シリコンウェーハ)の上に、トランジスタや配線を形成します。直径300 mmのシリコンウェーハ1枚から、数百から数千個のIC/LSIチップを作ることができます。これらを円盤状の砥石(ブレード)で一つひとつのチップに切り離す工程がブレードダイシングです。
同工程をレーザでおこなう「レーザダイシング」に対応する製品もディスコにてラインナップしています。
「Kezuru」の代表的な加工は、半導体製造工程における「バックグラインディング」です。
半導体製造プロセスに耐えうる剛性を保つため、シリコンウェーハには一定の厚みがあります。しかしモバイルデバイスにはできるだけ背の低いIC/LSIが求められるため、最終的には回路面の裏側を研削(バックグラインディング)して薄くする必要があります。
また、薄くしたIC/LSIチップは積層することで、半導体の高密度化にも応用されています。
「Migaku」の代表的な加工は、バックグラインディング後のストレスリリーフです。
例えば、ICカード内のチップは財布の中で曲げられることもあるため高い強度が必要ですが、バックグラインディング後のウェーハは残留する微細なダメージにより割れやすい状態です。
ストレスリリーフとは、この微細なダメージを除去してチップ強度を向上する加工で、ディスコのドライポリッシュ(乾式研磨)がその一例です。ストレスリリーフにてチップ強度を向上することで、ICカードやメモリーカードなど身近な製品に半導体を内蔵することができるのです。
人類にとってのKiru・Kezuru・Migakuの歴史は、石器時代にまで遡ります。狩猟した動物や魚を解体するため、人類は石器を発明しました。初期の石器は石と石を叩き合わせ作っていましたが、より鋭利な石器を求め、石同士を擦り合わせて削ったり、石と砂を擦り合わせて磨いたりすることで、性能を高めていきました。
Kiru・Kezuru・Migaku技術は普遍性が高く、難易度が高い加工ほど付加価値も高くなります。戦後の一時期に当社が成長するきっかけとなった万年筆のペン先の切り割り加工もその一つでした。
万年筆のペン先は、バネ性のある軟質な金合金の板に、摩耗に強い硬質なイリジウム合金のペンポイントが溶接されています。この硬軟二つの材料が接合されている金属部品を同時に切り割ることは、当時難しい加工でした。また、毛細管現象により滑らかにインクを流すため、切り割った隙間には高い精度が必要でした。
こうした精度の高い難加工にチャレンジし続けたことが、アポロ11号が持ち帰った月の石の東京大学からの切断依頼や、後の半導体製造のための精密加工につながっていきます。
高度なKiru・Kezuru・Migaku技術を絶え間なく追究してきたことが、難しい加工の課題が最初にディスコに届き、その課題を解決することで高度なノウハウが蓄積されていく状況をつくり出しました。この「課題を解決して、ノウハウを蓄積する」ことの繰り返しが、結果的にディスコを強くしていったのです。
装置のソフトウェア制御
HMI(Human Machine Interface)
装置ネットワークの実現
情報工学
ソフトウェア工学
システム工学 など
モータ駆動
高信頼性な機構の実現
センシングの実現 など
電気工学
電子工学
制御工学 など
高精度な機構の実現
高信頼性な機構の実現
機械工学
精密工学
ロボット工学 など
レーザ、レーザ光学系
画像センシングの実現
光工学
物理工学 など
ケミカルプロセスの実現
精密加工ツールの開発
化学工学
応用化学 など
「高度なKiru・Kezuru・Migaku技術」はディスコでは「目的技術」、つまり事業の目指す方向の先には必ずこれら3つの技術がなければいけないという位置づけをしています。
この目的技術を実現するための具体的な手段、例えば加工装置を機能させるための機械・電気・ソフトウェア技術、また精密加工を実現するための砥石やレーザ、プラズマといった技術を「手段技術」と定義しています。
DISCO VALUESにも明記している通り、ディスコの目的技術が変わることは原則ありません。これに対して手段技術にはなんら制約はなく、どんな分野の技術・研究でも高度なKKM技術へと昇華できる可能性はあり、手段技術の範囲に制約を設けないことこそが、さらなる目的技術の進化につながるものとディスコは考えています。
文理・専攻問わず、あらゆる人が活躍できる環境がディスコにはあります。
近年、学問と技術の結びつきは多様化しています。生物学の分野では「サメの肌を研究して水の抵抗を減らす」「蛾の目の表面を模倣して反射防止膜に応用する」といった「バイオミメティクス」と呼ばれる研究や産業利用が盛んにおこなわれていることも、その一例です。
「自分の専攻やスキルがディスコで役に立つか?」とリミッターを掛けることより、「その力でディスコをいかに進化させるか?」という視点を大切にすることで活躍できるポジションを見出せるのが、ディスコの研究開発環境です。
ディスコの本社機能と研究開発機能を有する「本社・R&Dセンター」は、東京都大田区大森に構えています。この地を選んだ理由の一つは、最先端の材料をお持ちいただき、実験のためにお越しいただく顧客の利便性のためです。羽田空港からも新幹線停車駅の品川駅からもアクセスがよく、国内外から多くのお客様が、相談や実験のため日々ご来社されています。
本社・R&Dセンターでは設計作業をおこなうオフィスエリアと、検証用装置が並ぶ実験エリアが同じフロアにあります。エンジニアのひらめきをすぐさま実機上で検証できる環境を整え、価値が高く独創的な技術や製品を生みだし続けています。
国内外さまざまな組織や企業から、未来技術のロードマップが提示されています。
・自動運転技術の進展や自動車同士のネットワーク化による、交通事故の起こらない未来
・音声認識、機械翻訳の進化による、言語の壁が解消する未来
・創薬の自動化や遺伝子治療、生体計測の高度化による、健康寿命が延びる未来
提示されている未来の中心となるテクノロジーは、いずれもAIやIoTといった半導体の進化が不可欠なコンピュータ技術です。コンピュータ技術の進化には、半導体の体積あたりの性能を向上のために小さく薄く加工することや、窒化ガリウム、酸化ガリウムなど、特性が優れる一方で硬質な素材の加工が今後さらに求められます。また、命に関わる分野に使われる半導体には、より信頼性が高く高品質な加工が求められることになるでしょう。
未来に向けた半導体の進化は、さまざまな観点から求められています。それを支える「高度なKiru・Kezuru・Migaku技術」も、今後よりいっそう重要になっていくでしょう。
新規技術に取り組んだチームの開発秘話です。
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